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一糸纏わぬ姿でベッドの上に横たわる古賀。
あまりの美しさに息を飲む。
俺はそっと古賀の上に寄り添うように覆いかぶさる。
古賀は僅かに身体を震わせている。
あの男との行為を思い出してしまっているのかもしれない。
20年近く前の事に未だに囚われているのだろう。
この人の心の傷を思うと胸が苦しい。
「今あなたに触れようとしているのは俺ですから。俺だけを見て?俺だけを感じて?頭の中俺でいっぱいにして?」
古賀を安心させるように微笑み、触れるだけの優しいキスを繰り返す。
「古賀さん、好きです。愛してます。あなたは美しい」
古賀の反応を見ながら少しずつ深くなっていくキス。
古賀の潤んだ瞳には俺が、俺だけが映っている。
*****
空を見上げると月がぼんやりと、だけどしっかりとそこにあるのが見えた。
俺たちは20年の歳月を経て再び巡り会えた。
月にいる両親が俺たちの事を見守ってくれていたから。
それは誤魔化しではなく、本当にそう思えた。
再び俺は願う。
この美しく愛おしい人と一生一緒に居られますように。
この優しく愛おしい人を一生守っていけますように。
二人でこれから幸せになるから、どうか見守っていてください。
横で眠る愛しい人の額にそっと唇を落とす。
-終-
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