37人が本棚に入れています
本棚に追加
古賀との生活は存外楽しいものだった。
古賀の住むこの部屋は店の2階にあり、古賀が仕事に行っている間に掃除や洗濯などの家事をして、食事の支度をした。
何せ殆を会社で過ごしていた身としては、料理なんてした事はなかったがやってみると案外楽しかった。
こういうの俺にあってるのかな?
料理を作りながら鼻歌まで出る。
こんな気分になるのは一体いつぶりだろう。
「お、いい匂いだな」
「あ、おかえりなさい。お仕事お疲れ様です。ご飯にしますか?それとも先にお風呂にしますか?」
古賀は目をぱちくりと数度瞬き、ふっと笑った。
「え、何ですか?」
「なんかこういうの新婚さんみたいだなーってさ」
古賀の目は優しく俺を見ている。
あぁ…この人の優しい目が好きだ。
この人の優しい声が好きだ。
この人のくれる全ての物が好きだ。
―――いや、そうか。
俺はこの人が……この人の事が…好きなんだ。
突然自覚してしまった感情に戸惑うものの、同時にこの感情を持てた事が嬉しいと思った。
「――どうした?」
「あ、いえ。先に食べちゃいましょうか」
「あぁ、そうだな」
ふわふわした気持ちのまま一緒にごはんを食べ始めた。
最初のコメントを投稿しよう!