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古賀への想いを自覚したが、それを伝えるつもりはなかった。
俺にはこの感情をどう扱っていいのかわからなかったから。
ただ、古賀の事を想えるだけで、こうして一緒にいられるだけで充分だった。
『~♪』
突然鳴る古賀のスマホ。
幸せな気分が一瞬にして萎んでいく。
「あぁ、俺だ。――わかった。すぐ行く」
「――トラブルですか?」
「あぁ、飯の途中ですまないな。帰ったら食うからラップしといて」
古賀は席を立ちそのまま出て行こうとしたが、立ち止まり俺の方に近寄って来た。
「古賀さん…?」
古賀は俺の頭に大きな手を置き、ぽんぽんと軽く触れた。
「わりぃ。早目に帰って来るから…いい子にしてな」
そう言ってふいっと逸らされた顔が少し赤かった気がして…。
古賀が出て行ったドアを暫くの間見つめ続けていた。
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