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第2話 遭遇
北口から東急デパートに向かう斜めの通りを進み、ハーモニカ横丁の手前のビルを地下に降りると、流行りの英国風パブがある。ノンチャージなので、独りでサクッと飲みたいときによく使う店だ。
カウンターでウォッカトニックを注文する。キャッシュオンなので、その場で支払いをして席を探す。居酒屋と違って席は指定されないので、どこにでも移動可能だ。混んでるときは立ち飲みもOKだ。
あまり混みあってなかったので、小さなラウンドテーブルに着く。席は全てハイチェアで、椅子が足りなくて立ち飲みしても、座ってるメンバーと自然に会話ができる。
私はグラスを手に取って、舐めるように一口飲む。グラスの中身は大半が氷だから、グイッと飲みだすとすぐに無くなってしまう。貧乏くさいが、氷が溶けだすまではこの飲み方を続ける。
私は女子にしては珍しく一人酒が好きだ。孤独感が肴になって程よく酔える。誰に気を使うことなく飲めるのも魅力だ。こんな楽しみを男だけに独占させる手はない。
それにしても今日は孤独感をより強く感じる。未来への不安が悲劇的な演出と成り、ヒロイン気分を味合うことができる。もちろん、この先には自分を楽しい未来に導いてくれる、素敵なお金持ちが現れる妄想も忘れはしない。
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