第2話 遭遇

2/12
前へ
/116ページ
次へ
 ほろ酔いモードで気分が良く成って来たところで、隣の席に団体が来た。男女混合で七名と大所帯だ。男は皆スーツなので学生ではない。近くの会社の社員が帰りがけに一杯というやつか。コロナが出現してから学生以外で、こういう団体も珍しくなった。  席に着くと一斉にマスクを外して、お疲れ様の乾杯を始めた。  男のメンバーの顔を見て、ゲゲッと思った。  男の一人はクィーンの常連客で、しかもマリエさんのお客さんだ。私自身、ヘルプで二度ほど着いたことがある。名前は確か柴田誠一(しばたせいいち)、誠実一番の誠一ですと、訳の分からない自己紹介を覚えている。マリエさんのことが大好きで、席に着いたときもマリエさんの話ししかしなかった。こっちのことはまったく眼中にないようで、二度目に着いたときも初対面のように挨拶した。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加