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「もう半分しかないですけど……」
「良いんですか?」
「ええ、それはもちろん」
そう言うと彼女は嬉しそうに肉まんを食べる。
やがて食べ終えた彼女は俺の方を向いてこう言った。
「なんだか、カップルみたいですね」
「……!!」
俺の頬が紅潮していくのが分かる。
顔が火照る、体が火照る。
無自覚の彼女の言葉に俺は言葉を失ってしまった。
「……ってすみません!私ったらすみません!えーと……」
彼女が首を傾げる。
「あぁ、俺は王子って言います」
「王子君、すみません」
「……い、いえ大丈夫ですよ」
彼女は俺の名を聞いてかまた笑う。
「……変ですよね、この名前」
俺が苦笑いでそう言うと彼女はきょとんとした顔で見つめてきた。
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