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河村 望は冷たい風が吹きすさぶビルの屋上に佇んでいた。 天空の頂には満ちた月が浮かぶが、フェンスを越えた望の眼下には果てしない闇が広がっている。 ――新一、どうか夢を諦めてくれないだろうか。せめて僕のこの命と引き換えに。 望がフェンスからそっと手を放すと、華奢な体は闇の中に舞い落ちていった。 まるで世界から切り離された、一枚の木の葉のように。
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