大物発掘俳優(第2章 遊んでから考えよう)

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サッカーをしながら、考えていたのは五番勝負でこうしたほうが面白かったんじゃないかということを考えていた。笹城がゴリラのかっこをして、公園で阪下を驚かそうとしたのだ。しかし、驚かそう作戦は公園でのロケということで、最初から警戒されていたのだ。スタッフの制止も聞かずにあちこち探しまわったのだ。宝探しじゃないんだから、そんな野暮なことをしてどうすんだと好奇は思った。当然、ピンポイントで見つけた。その後阪下は勝ったと言わんばかりのガッツポーズをしたのだが、好奇は阪下のガッツポーズも”ヨッシャー”という叫び声自体も面白くなかったのだ。あれは少年の心を持ったいい年のおじんが、いたずらか、かくれんぼで友人を見つけて、喜んでいるだけだ。むしろ、笹城の行動の方が面白かったと言える。驚かせることは出来なかったが、このままでは当然終われないと言わんばかりに滑り台まで阪下を追い込んだ笹城のほうが断然面白いと言えるだろう。だからこそ、見つかることを前提に仕掛けた方が面白かったかもしれないと好奇は思ったのだ。見つかる前提であれば、”はい、みっけ”と言った瞬間に別のゴリラが現れるといったものでもいいと考えていた。もしくは、花火の音を出すとかをしてみてもいいかもしれない。速さは花火の法則から音より光の方が早いが、花火で直接するよりも音でビビらせた方が面白いだろう。現に笹城の妻の南斗がだんなに内緒で夫と阪下の二人を驚かせたのだ。その際に、いっさい笹城を見ていなかった為、花火の光よりも音の方に驚いたのだろう。おそらくそれを実行するタイミングは「ヨッシャー」と 無意味に阪下が大声で叫んだ瞬間を狙って驚かせるのがいいかもしれない。もしくは、ゴリラが出てくる前に公園のブランコに座らせるのだ。見かけが精巧にできたブーブークッションをブランコのところにおいて、驚いた瞬間のゴリラが面白いだろう。  エレベーターでは、警戒して出なかったが、入る瞬間を狙って驚かすのも面白いだろう。または、阪下に押された被害者がドッキリにひっかかった後に阪下を驚かすにもいいが、被害者はあくまで知らないふりの方がいい。あまりにも不憫だが、何より阪下の怖がりに巻き添えを食らう必要はないと言えるだろう。
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