ラブソング 06.そんなことある?

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ラブソング 06.そんなことある?

 飲み屋で酔いつぶれた親父を迎えに行くと、この間の見合い相手の父親に出くわした。 しかもその男を迎えに来た娘は、俺がロビーでぶつかった女だ。 俺は、この状況に、少しだけ混乱していた。 女は俺のことを覚えていないらしい。 まあ俺だって、見合いが無事に行われていたら、忘れていただろうから、無理もないが。 だが女の態度は、前にあったものとは違っていた。 あの女には、似た顔の姉妹でもいるのか? そんなことを考えていると、 「あの、タクシー呼んでもらえませんか?」 女が申し訳なさそうに、店主に言っていた。 あの父親の状態では、女一人で連れて帰るのは、無理だろう。 俺は、考えるのを再び放棄した。 どうしたところで、特に何かが変わるわけでもない。 店主が、ああ、はいと受け答えをしているところで、 「よければ、送りますよ?」 そう声をだしてる自分がいた。 女と店主が、一斉に俺のほうに振り向く。 彼女は、でもと言っていたが、 「どうせ、ついでなんで。」 と言うと、ではお言葉に甘えて、と俺の車に乗ることを了承した。 そうして二人して大の男を抱えて、店を後にする。 俺の勘違いの始まりは、思えば、そこからだったのかもしれない。
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