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試験2
ようやく試験が終わりました。
1月16日23時59分までに終えなければいけない試験を23時52分に終わらせる計画性のない私。
だって以前書いたみたいに満点を取りたいのでギリギリまで勉強したいんです。
2つ受けなければいけない試験の内、1つはその場で結果が出て満点、もう1つは結果待ちですが、多分9割は取れたかなと思っています。
満点ではなさそうなのが死ぬほど悔しいのですが、言い訳をすると診療後にゆっくり試験を受けようと思っていたのに急患のわんちゃんが来てしまったのです。
目の前の患者さんと試験だったら当然患者さんを優先しますよね。
処置が終わってから試験受けたら制限時間も迫ってきている上、思いの外問題数が多くて焦ってしまった、というのが言い訳です。
でも、自分に対して言い訳をしているとより良い診療ができないので、反省してこれからも頑張りたいと思います。
この間から試験試験ばかり言っているので誤解される方がいらっしゃるかもしれないのですが、獣医師免許は一度国家試験に合格して取得をすれば取得後に試験は一切ありません。
なので私が受けている試験は、本来普通に診療をしていく上では特に受ける必要が無いものなのですが、新しい知識を入れてアップデートをしていかないとより良い診療ができないので、認定試験を受けたりしているのです。
ちなみに獣医師免許は運転免許証の様に携帯できるタイプではなく賞状タイプです。
なので、もし私が職務質問とか逮捕をされても身元が判明するまでは「自称獣医師 伊月美鳥」なんですよね、名刺持ち歩いてないし。
そんなくだらないことは置いておいて、この間ある方とお話をしていたら、動物病院の現場について書いて欲しいというお話をいただいたので、ちょろっと書いてみたいと思います。
そうは言っても何を書けばいいのか、試験に疲れた頭ではあまり思い浮かばなかったので、一番印象に残っているわんちゃんのお話を書きたいと思います。
そのわんちゃんはまだ私が勤務医をしている頃、子宮蓄膿症(パイオメトラ)で来院して夜に緊急手術になりました。
この病気は未避妊の女の子に起こる病気で、子宮が細菌感染を起こして膿が溜まってしまう病気です。
多くは中年齢で発生し、発情後2ヶ月間の偽妊娠期間に起こります。
パイオは手術をしたとしても術中死や術後腎不全などで死亡率が高い結構怖い病気なのです。
そのわんちゃんはかなり状態が悪く、すぐに手術を行いました。
手術中もバンバン不整脈が出たりしてすごくリスクが高い子だったのですが、無事に手術が終わりました。
でも、皮膚の縫合が終わった瞬間、突然心停止してしまったのです。
私たちは即座に心肺蘇生(CPR)を行いました。
それでも心拍が戻って来ない。
すぐに飼い主様に連絡を取り、病院にいらっしゃるまでの間ずっと蘇生を続けていたのですが、一向に反応しません。
スタッフ全員、何度も何度も名前を呼んで蘇生を行っている内に飼い主様が到着しました。
すぐに手術室に案内をして、飼い主様がわんちゃんに駆け寄って名前を呼んだ瞬間、さっきまでの心肺停止状態がまるで嘘だったみたいに、頭を上げて反応したんです。
こう書くと作り話みたいですね。でも本当のお話です。
私は西洋医学原理主義者ですし、診療を行うにあたって論理的で科学者でなければならないと常日頃から思っているのですが、この時ばかりは本当に神様を信じちゃいました。
奇跡って、起こるんですよね。
私たちが行ったどんな処置よりも、優秀な科学者達が心血を注いで開発したどんな薬よりも、そのわんちゃんにとっては飼い主様のたった一言が一番の治療だったのです。
そのわんちゃんはその後数日入院をして、無事に退院していきました。
現代医療の敗北ととるか、家族の絆の強さの勝利ととるか。
結局はどちらも同じくらい大切なことですね。
治療というのは、医療とご家族の協力のどちらが欠けても成立しないものだと思っています。
特に獣医療に於いてはご家族の協力がないと私たちは本当に何もできません。
なので、動物が元気になると飼い主様からは、
「先生ありがとうございます」
とお言葉を頂くのですが、私はいつも、
「一緒に頑張ってくれてありがとうございます」
とお返ししています。
だって、病気を治してるのは私だけの力じゃなくて、動物自身とご家族もなんです。
なので、私のこのくだらないひとりにっきを読んでくださっていて、かつ動物を飼ってらっしゃる方がいましたらお伝えしたいです。
「いつもその子を可愛がってくれてありがとうございます」
それではおやすみなさい。
2021年1月17日深夜
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