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彼氏持ちの友人達は他にも中年脂男、散歩しているグレーのスエット男は危険だと話した。
「私も!グレーのスエットに追いかけられたことがある」
「何がなんだって?……はい。授業を始めます。日直はどなた?」
担任の真智子先生が入って来たので乙女のおしゃべりはお終いになった。
女子高校。熱血ジャージの教師の真智子は朝のホームルームで駅前の事件について話し出した。
「昨日の夕方6時ごろ。駅前で女性が襲われる事件が遭ったそうですが防犯カメラに本校制服を着た女子が写っていたそうよ。みんなの中で目撃した人がいないかしら」
しかし誰も手を挙げなかったので真智子は他の連絡をした。それを聞きながら明日香は考えていた。
……そうか。制服でうちの生徒だってわかったんだ。
この日のランチ。明日香は里奈と過ごしていた。
「まだ落ち込んでいるの。明日香って。そんなに痴漢に遭うの」
「痴漢って程じゃないけど。いつもお尻のところに手がある気がする」
「あんた。狙われているんじゃないの」
小柄で大人しそうに見られる明日香を里奈は心配し出した。
里奈は背が高く目がキリリとした吊り目である。初めて会った時、気の強い印象を覚えたがそれはその通りであった。そんな強気な里奈には自分には痴漢は来ないと公言した。
「私に痴漢なんかしたら、黙ってないから。その手をつねってやるもの」
「里奈はすごいよね」
「世間の奴らに痴漢される女が悪いとか言わせないから!あんたもまずはオーラ。触るんじゃないよ!って言う気迫だよ」
「う。うん」
そして里奈は今日は彼氏とデートなので、明日香は一人、駅まで歩いていた。
……痴漢されないオーラか。
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