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聞いたことのない部活。驚く時間もなくこの場にカバディ部の連中がやってきた。明日香はドキドキしていた。話しかけてきたのは眼鏡男子だった。
「よし。これを貼るぞ。先生、良いですよね」
「ああ。センス良くやれ」
「お前ら!やるぞ、ほら取りに来い」
他の部員は、ぶつぶついいながら作品を受け取った。その中にいたのは例の彼だった。
嘘!私の書道を持っていっちゃったよ。
力がある彼らは、それは優しく作品を手に取り掲示していった。明日香は自分の作品を後ろからそっと見ていた。フローラルは明日香の書を貼り終え、感心そうに眺めていた。
これに彼の仲間が声をかけていた。
「何をそんなに見てんだよ」
「いや。強そうだなって」
違うよ?意味が。
明日香の驚きを他所にフローラルはうんうんとうなづいていた。これを誤魔化すそうに彼女はこの場を後にした。
はあはあはあ。まさか、フローラルさんがいるなんて。
帰りの電車を待つ間。明日香はカバディについて調べ出した。〇〇工業、カバディで検索。
そうっか。フローラルさんの学校は強いんだな。
そこには選手の画像と名前があった。東山昴と名前が判明した。
「昴さん、か」
夕暮れの駅のホーム。明日香は頬を染めていた。
◇◇◇
「明日香。昨日は悪かったね」
交通費をくれた真智子に明日香はいいえ、と笑みをこぼした。
「ただ届けただけですから。それに楽しかったです」
……フローラルさんの正体も分かったし。
「そうなの?じゃ、また今度もお願いしようかな」
「そ、それはちょっと?」
苦笑いの明日香。窓の外に夏に日差しが照り付けていた。
つづく
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