雨、霰

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雨、霰

街路樹の寒々しい姿を見やる度、雨の事を思う。 雫が落ちゆく先には、一体何があるのだろう。そこには只、地面だけがあるのだろうか。酸素を突っ切って重力に導かれる幸せ、弾け飛ぶ瞬間。 貴方達は何を見ていたの。 想像することしか出来ない。 言葉にならない感情を流す度に、何もかもが嫌いになりそうだった。 身近な雫を犠牲にする度に自業自得だと貴方達を蔑んでしまいそうだった。 重力に惹かれて、落ちていく度に、 以前もこんな気持ちを噛みしめていた様な。 雨が降る度に。 何も成さないで只安穏と。 日々を過ごす度に。 いつまでも貴方と運命共同体で在ると思っていた幼き頃は、 瞬く間に通り過ぎて、 私、ひとりでいる。 目にも止まらない速さで、春が来る。桜が咲く、散ってゆく、雨が止む。 貴方はもう、雨を望んじゃいない。 只、私は待っている。 待っている事、自由とは正反対の在り方。 何処にもない器官がざわつく度、独りよがりだ、と噛みしめる。 待っている、待っている、待っている。 呪いみたいだ。 雨の欠片を待っている。 不条理に目を逸らして、 貴方が知らなくても、私だけは、 貴方を蔑みたくはなかった、 貴方の所為で、街が干上がったって、貴方達を待っている。 街路樹を揺らす貴方達を。
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