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ぼくは君のこと、好きでも嫌いでもなくて 夏の入道雲の輪郭程、明確な感情を、君に対して抱いていなくて。 哀しみとか苦しみとか、他者への期待から生じるありきたりな感情を、もう君に対して、抱きたくなくて。 君と、顔が近づいた一瞬、ぼくとの一線を君が踏み越えてきたその一瞬、ぼくは怯えていて、君はぼくを抱きとめるだけにしてくれた。 夜はいつもぼくに寄り添っていて、 置いていった誰かの事なんて、涙で薄れさせてくれた。 心が叫ぶことなんて、 もう、いいんだ。 もう、なにも、感じたくないんだ。 君の心とぼくの心が交わることは無くて、 一瞬、あの一瞬だけが、ぼくたちの全てだった。 その事を分かって欲しかった、でも君には理解できないだろう。 理解できないだろうからぼくは君を突き放す。「子供だ。」吐き捨てた言葉も君には届かない。無意味だ。無意味なのだ、でも書かずにはいられない。 重なっていくのは年齢だけでぼくが叫んでいる本質は何も変わっちゃいない、 子供のままだ。 髪を染めるのも、タトゥーを肩に彫るのも、 ピアスの穴を耳にあけるのも、ただ。 只々、何処かに居る君に見て欲しかった、だけ。 夏の匂いに鼻をつまんで、目の前が眩んで、 青空の地平線の先に、君を見た、気がした。 目を覚ました。外ではまだ、陽が照っている。 目を閉じた。夜を待つ為、まだ。 君を待つ為。
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