0人が本棚に入れています
本棚に追加
独白
刺青を身体に刻んで、
悪者のフリをする。
空を見て胸が締め付けられること、
聖者のフリをする。
青。
君みたいに、まっさらで。青。
痛むのは何処なのか。
本当、はどこにあるのか、忘れてしまった。否、忘れているフリをしている。
甘い物を摂取する度、身体のどこかが
汚されていくような気分になる。
食べることが害悪のように思える。
偏食に育ちたかった、君の様になりたかった。
どこも痛くなんてないのに、何処かが痛むような気がしている。
どんどん足が地から浮いて、ぼくは天井からぼくを見ている。
ぼくの身体はどこにあるのだろう。
ぼくの、こころは。
いつか、いつか地に足をつけることが出来たのなら、
何かが変わるんだろうか。
ぼくは一体どこから君を見ているんだろう。
いつまで経っても、痛みを自分の物とは思えない。
ぼくは一体何者なんだろう。(名前とか所属とか表面的なものではなくて)概念として、何の為に(ぼくはぼくとして)ぼくの目を使って、世界を見ているのだろう。
「嘘をつくのは得意だよ。
と言う人間のどこを信用したら良いのか分からない。」
誠実な人間とは、君のことを言うのかもしれない。
夏の終わりに花火がしたかった。
不誠実な人間と関わって、交わって、心の在処を確かめたかった。
皆が皆、どうして平気な顔をしていられるの。
心の在処を知りたかった。
君の心は一体何処にあるんだろう。
ぼくが昔愛した人々は一体何処に消えてしまったんだろう。
どうして、愛することをやめたの?
どうして、愛せなくなったの?
どうして、心の何処からもいなくなってしまうの。
本当、が分からない。全て虚偽の様な気がしている。真っ当な人生を歩めば、皆の様に、同じに成れると思っていたのに、いつまで経っても皆の気持ちが分からない。分からないままだ。ぼくがどんどん剥離してゆく気がしていて、本当はこんなところに居たくないのだ、と声がする。
何かが聞こえる気がする。感情、思考、全てが偽物の様に思える。
まやかしだ。
どこも痛くない筈だった。傷つくことなんて何もなかった。
夏の間、君は居なかったし、
冬の間、貴方も、居なかった。
ずっと、ぼくも、居なかった。
ずっと、居るのは。
ずっと居るのは「私」だった。
狭い部屋、偽物の刺青を身体に貼りつけている私だけだった。
最初のコメントを投稿しよう!