334人が本棚に入れています
本棚に追加
秘事
「智樹!お帰り‼︎」
智樹を抱きしめる雅樹の姿があった。
「……、ただいま……」
雅樹に抱きしめられたままの智樹が驚く。
「智樹、どこ行ってたんだよ?心配したじゃねーか」
智樹を抱きしめる雅樹の腕の力が強くなる。
「ちょっと欲しい服があったから、見に行ってた」
智樹は嘘をついた。
「服屋?どこの?」
雅樹が聞くと、
「駅近くの路地を入った所に新しい店ができてたんだ。そこ」
店は本当にあるが、今日は行っていない。
買い物には事前に行き、今日行ったと言うのは智樹が事前に考えていた答え。
「智樹が今持ってる紙袋の中に、買った服が入ってるのか?」
智樹が持っていた紙袋を雅樹が指さす。
「うん、これ。よかったから、雅樹のも買ってきた」
紙袋から色違いの服を取り出すと、
「シンプルな色使いだから、なんでも合わせ易いって、店の人が。雅樹はどっちがいい?」
「じゃあ…、こっち」
智樹が雅樹に服を選ばせた。
これも事前に店に行き、雅樹が好きそうな服を選んで買ったものを、早見に預けていた。
最初のコメントを投稿しよう!