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わからないだろ⁉︎ ②
智樹はわかっていた。
それら全て雅樹に頼まれた事でも、強制された事でもない事を。
でも、『つけたいからつけた』と自分勝手に言い放った雅樹の事が許せなかった。
『したいようにする』『我慢はしない』と雅樹に突き放された気持ちになったから…
『そんな事言わずに…。今日の晩御飯は、ルーを使わずに最初から作ったビーフシチューよ。智樹、好きでしょ?』
母親が智樹を宥めようとすると、
『智樹、ごめん‼︎』
母親のスマホを奪い取ったのか、雅樹の声がした。
「なんで雅樹が謝ってんの?したいようにしたんだったら、別に謝らなくてもいいじゃん」
智樹は雅樹を突き放すように言った。
『智樹を傷つけたなら、謝る…。だから部屋から出てきてくれよ』
雅樹の声は泣きそうだ。
「嫌だ。絶対に嫌。電話もかけてくんな」
『智…‼︎』
雅樹が智樹の名前を呼ぶ前に、智樹は通話を切り、スマホの電源も落とした。
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