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「やっとついた…」
後、一時間がとても長く感じた…
今日、一日分の体力を使い果たした…
「レティス様、大丈夫ですか?降りられますか?もう少し、馬車で休んでいても良いですが…」
「大丈夫…」
僕は、吐きそうなのに耐えながら馬車を降りた。
馬車を降りて、城門に向かい、門番に陛下からの招待状を提示した。
すると「お話は伺っております。担当の者を読んで参りますので、少々お待ちください。」と言われた。
気持ち悪いから、馬車に戻っちゃ駄目かな…
僕がそう考えながら、馬車のあった場所を振り向くと、すでに馬車は移動させられた後だった。
「くそぅ…」
「どうかいたしましたか?」
「何でも無い…」
僕が、ハウゼンの問にそう答えると、彼は困った様な顔でこう言った。
「ですから、馬車で休んでいても良いと言ったではありませんか。」
「…ここまで待つとは思わなかったんだよ…」
「はぁ」
僕は、ハウゼンが心底呆れたと言う顔をしたのを、見なかった事にした。
「お待たせして申し訳ございません。宮廷魔導師のハウゼン様とフィオール家のレティス様でお間違えございませんね?」
「そうです。」
執事?らしき人物の問にハウゼンがそう答えた。
「私は、陛下の従者のハウルム・ロシュトと申します。陛下は公務で、もう少々手を放せないので、お二人を来客室までご案内いたします。」
「ありがとうございます。」
僕は、ハウルムさんにお礼を言いながら、気分が少し良くなってきたなぁと思っていた。
「只今お茶をお持ちいたしますので、こちらでお待ちください。」
ハウルムさんは僕達を案内してからそう言うと、一旦部屋をあとにした。
「レティス様、具合はいかがですか?」
「もう大分良くなったよ。」
「そのようですね。先程より顔色がよろしいです。」
「でも、これから陛下に会うと思うと…
緊張してきた…」
「大丈夫ですよ。今回は公の場ではありませんし、多少の無礼は許されます。」
「僕が、無礼をはたらく前提…」
「そんな事は言っておりません。ただ、安心して頂こうと思っただけです。」
本当かどうか怪しいところだが…
僕がそう思って、ハウゼンに疑いの目を向けていると、ハウルムさんが「失礼いたします。」と言って入って来た。
「陛下のご公務が予定より早く終わりましたので、陛下の待つ庭園ヘご案内させて頂きます。」
「庭園?応接室では無いので?」
ハウゼンがそう聞くと、
ハウルムさんは「皇后陛下が今日は、せっかく天気が良いのだし、外でお茶でもしながら話そうと仰られましたので。」
「皇后陛下!?皇后陛下もいらっしゃるんですか?」
僕が、驚きの声を上げると、ハウゼンも驚いた顔をしていた。
多分、彼もこの事は知らなかったのだろう。
「はい、皇后様も時間に余裕がお有りとの事で、せっかくならと陛下がお誘いになられまして。」
「サヨウデ…」
僕は、緊張のあまり上手く答えられなかった。
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