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屋敷に帰ると庭で3歳年下の弟(11歳)のグレンがいた。
グレンはこの家族で唯一僕を蔑まず、なおかつ高い魔力と剣聖のジョブを持つ完璧な弟で、周りからも次期公爵として期待されている。
グレンは僕とハウゼンに気づくと、小走りでこちらにやって来た。
「兄様、べノー先生お帰りなさい
今日はどちらまで行っておられたのですか?」
「ただいまグレン、今日は森に行って木の上で休んでいたら、ハウゼンに見つかって長々と小言を言われたよ。」
「グレン様わざわざありがとうございます。レティス様小言とはなんですか?そもそも貴方がサボらなければ私だって何も言いません。」
「サボるも何も、もともと僕の授業なんて無いだろ」
「貴方はまたそうやって!少しは見返してやろうと思わないのですか?」
「だから無理だって言ってるじゃないか!」
僕とハウゼンが言い合いをしていると、グレンが「兄様とべノー先生は本当に仲がよろしいですね」と笑った。
今の会話のどこを聞いたらそう思うのだろうか…
「僕とハウゼンの仲が良いかは、おいておいて、グレンはこんな所で何をしていたの?」
「僕は、剣の稽古まで時間があったので、少し散歩をしておりました。」
「そっかー」
グレンの答えに、剣の稽古なんて僕には無縁だなぁと、考えていたらハウゼンが、
「レティス様も剣、習いますか?興味がお有りでしたらお教えしますよ。」と言ったので、
「魔術師に剣が教えられるの?」
「一般兵位のレベルなら大丈夫です。」
「まあ僕は弓使いだから、剣を習っても意味無いよ」
「そんな事はありません!実際魔術師の私だって剣を使えるのです!習っておいて損はありません!」
「いや、それはハウゼンが特殊なだけじゃ…
それに、魔法が全てのこの国で、ろくな魔力が無い僕が剣を習っても惨めなだけだと思うけど」というと、グレンが食い気味に反論してきた。
「そんな事ありません、兄様は今のままでも十分立派ですが、剣を学べばもっと完璧になると思います!」
「グレンまで…」
「立派かどうかはおいておいても、弓も使えて、なおかつ剣も使えるとなれば、そこそこの戦力にはなると思いますよ。」
「…まあ確かに、家を出たら必要になるかも?」
「そうですよ!では、明日からは剣を教えますのでサボらないでくださいね」
グレンとハウゼンに半ば強引に話を進められた気がするが、まあいいか…
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