三話 地獄耳

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三話 地獄耳

ハウゼンにしごかれてから、3ヶ月位がたった今日、僕は森に向かっていた。 サボりでは無い。 弟のグレンが、野外授業に行くと言う話をどこからか聞きつけたハウゼンに、 「せっかくならご一緒させて頂きましょう。」と言われ、 僕は「嫌だ」と言ったのに… 言ったのに! 連れてこられた… 剣術の時と同じように、グレンと結託して僕を連れ出した。 帰りたい…(切実) そんな事を考えていると、豪快な笑い声が馬車の外から聞こえてきた。 その声の主は、グレンの剣の師であり、 我が国の第三騎士団団長の、ガウス・デルギーニだ。 ガウスはとにかく、声がデカイ。 耳が痛くなる。 「はぁー」 僕が、そんな事を考えていると、グレンが急にため息をついた。 「どうしたの?」 僕が聞くと、グレンは 「ガウス師匠が、べノー先生を困らせているのではと思いまして…」 「気にする必要無いと思うよ。逆にハウゼンにガウス殿がいじめられてないかしんぱ…」 「グレン様、レティス様着きましたよ。それと、レティス様何か仰っしゃりましたか?」 「…」 ハウゼンは馬車に耳でもつけていたのかな? 絶対聞こえてたよね… 怖い!! 僕が身震いしていると、ガウスが豪快に笑いながら、 「わしは、いじめられてなどおりませんぞ!それより、さっそく訓練を始めようではありませんか!」と言うので、僕は思った。 強い人って皆、地獄耳なのだろうか‥ 「そうですね、そうしましょう。」 僕の考えをよそに、ハウゼンがガウスに同意し、訓練が始まった。
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