三話 地獄耳

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午前中は森の入口付近で、打ち合い稽古をして、その後は昼を挟んで、森でモンスターと実戦をする事になっていた。 僕はこの森には、よく来ていたが(サボりに)こんなに、森の深部に来たのは初めてだ。 ちなみに、この辺は結構モンスターが出るらしい。 ハウゼンが言っていた。 「どの辺りで始めるんですか?」とグレンが聞くと、 ガウスが「もう少し進むと、広い草原に出るんで、そこで、モンスターを呼ぶ香を炊こうと思うとります。」と答えた。 それにハウゼンが「あそこなら、多少囲まれても広いので何とかなりますね。」と同意するので、少し怖くなった。 そして、到着すると僕は剣を渡された。 「ハウゼン」 「なんでしょう?」 「僕って弓使いじゃなかった?」 「そうですね」 「じゃあ何で剣…」 「良いではないですか兄様、剣を握っている兄様もかっこいいです!」 「…」意味がわからない… 僕が、グレンの言葉を不服に思っていると、ハウゼンとガウスがグレンの話に乗ってきた。 「弓より似合っておりますな!」と豪快に笑うガウス。そして、 「似合っているかは、おいておきましても、レティス様は、弓より剣を練習しておいた方が良いと思いますよ。」とハウゼンが言った。 「剣は苦手なんだけど(お前のせいで)」 「何か?」 「…何でも無い」 「では、始めましょう!」 午後の訓練は、グレンの声とモンスターを呼ぶ香の匂いから始まった。
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