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それでですね、私はそのことを第一戦隊の『長門』先輩と、『陸奥』先輩に言ってみたんですよ。そしたら『長門』先輩は興味なさそうに、
「それは軍令部が決める事よ」
…ですって。おまけにのんびり屋さんの『陸奥』先輩ときたら、新年の空を見上げながら―――
「んー?…どっちでもいいよぉ」
ですよ。
いくら私達の声は、いま私のこの声を聞いてくれているあなたみたいに、“聞く事が出来る人間さん”以外には、届かないって言ってもですねぇ…やる気が削がれると思いません?…もぅ。
「あーーー!」
さてはお二方ともきっと、私の存在が大々的に国民の皆さんに向けて発表され、注目の的になるのが悔しいんですね!
なんたって“世界七大戦艦”の中の二隻であるお二方は、“むつとながとはにほんのほこり”って、子供のカルタで読まれるくらいに、大人気なんですから。
すると私の大声を耳にされたのか、他の先輩戦艦方も集まって来られます。あのですね…えーっと、私、聯合艦隊に加わったのはいいんですけど、“落ち着きがない”って、先輩方によく怒られてるんです。面目ありません…
「新年早々、賑やかねぇ…」
「なんの騒ぎですか?」
「また新米が、何かしてるのかい?」
えぇーっ、また怒られるのかなぁ…と思った時、『長門』先輩が「いいえ。何でもありません」と収めてくれました。それを聞いて先輩方は「そう。ならいいよ」と、引き下がってくれます。
実は『長門』先輩は私が建造されるまで、戦艦の中では一番年下の後輩さんだったんですよ。だけどやっぱり“世界七大戦艦”の一隻で、聯合艦隊旗艦の座を守り続けた威厳なんでしょうね。他の先輩方が、一目も二目も置いているのが分かります…うー、やっぱり私も、こんな風になりたいなぁ。
じゃあついでに…あ、ついでになんて言ったら、また怒られちゃう。ええっと、いい機会ですので、先輩の戦艦方のご紹介をしましょうか。
まずは長門型戦艦の『長門』先輩と、その姉妹艦の『陸奥』先輩から。全長約二二五メートル、全幅約三五メートル、最大速力二五ノット。四一サンチ主砲を連装四基八門装備。『長門』先輩は大正九年(1920年)、『陸奥』先輩はその翌年の大正十年(1921年)に竣工しました。さっき言ったように、“世界七大戦艦”のお二方で、国民から絶大な人気を得ておられます。
もちろん人気だけでなく、聯合艦隊旗艦としての実力も相当なもので、主砲射撃は大層な腕をしておられます。どんなに威力のある主砲でも、当たらなければ始まりませんからね。私も負けられないです。
『長門』先輩。私より全長で四〇メートルほど小柄ですが、風格があります。
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