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法律や派遣会社がなんと言おうと、派遣社員の多くは、代わりの利く、使い捨ての存在でしかない会社も多い。
運良く正社員登用制度のある会社は、常に人手不足の業界が多い。
また、派遣契約から直雇用に変わる場合も、法律の上限である3年間を派遣社員として契約した上で、切り替える会社が多い。
しかし歌澄は、希海の話を聞き、ケルスがそういった会社とは一線を画していることを確信した。
おそらくケルスにとって、派遣社員はあくまで社員採用のチャネルの一つなのだろう。
しかし、全員が全員、正社員になるわけではなく、『ほとんど』というのが気になった。
「では、正社員にならないケースというのは……」
遠慮がちに尋ねた歌澄に、希海は苦笑して答えた。
「ごく稀に、試験結果が基準に届かず、契約社員になる方もいますが、大抵は次かその次の試験で合格しますね」
他には、本業が別に有り、正社員としての義務を負うのが負担になるからと、派遣からあえて契約社員になった人がいたり、派遣期間中に妊娠が判明したため、育休取得の都合で派遣契約を継続し、育休明けに紹介予定派遣として改めて契約、後に正社員になったケースがあるという。
つまり、ケルス側の事情で、3ヶ月以上派遣契約をしたことは無く、契約社員としての採用になっても、本人が希望すれば、正社員への道があるということだ。
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