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ヂリリリリリリリリン!!
まだ朝日も差していない真夏の午前…。
静かな朝に似合わない大音量のアラームが、持ち主の目覚めをはやし立てる。
「ふぁ~…」
クシャクシャ赤髪のワイルドボーイは、眠気眼をこすりながら、フカフカのベッドから上半身だけ起き上がった。
ヂリリリリリン!…ヂリリリリリン!…ヂリリピッ
アラームを消して、ふと時刻を見てみる。
8/3SAT
4:16
少年は、ふと、頭上にある大きな天窓を見た。
真っ暗。
真夏とはいえ、この時刻…。
日の光を見る方がおかしい。
因みにこの天窓…。
夜になるとプラネタリウムのごとくに輝く星々を見れるらしい。
(ち…。
まだ、まだ二時間以上あるじゃねえかよ…)
少年は、ベッドからノロノロと立ち上がると、いつもの足取りで階段を下りた。
そして、台所につき、冷蔵庫からまだ開けられていない牛乳パックを取り出す。
(アイスコーヒー…アイスコーヒー…………あった)
少年は、いつものように、アイスコーヒーを牛乳パックの中に流し込み、そのままがぶ飲みする。
この少年にとっての朝の日課だ。
「ふぅ…」
お手製カフェオレを片手に、リビングの馬鹿でかいソファーにどかっと腰を下ろし、液晶TVを付けた。
だが、4時過ぎというだけあって、やっているチャンネルはせいぜいニュースくらいのものだ。
画面の中では、バラエティーによく出るアナウンサーが、いつも見る表情とは全く顔で原稿を読み上げていた。
『先日、UNICEFに20億円という多額の資金を提供した大手企業は、今年も株式の大幅上昇記録。
日本の経済に大きな貢献を――――』
ピッ。
テレビを消し、目の前のテーブルの上にあるメモを見る。
《今日は会議で遅くなる。
10万置いとくから適当に食べておけ。
P.S
5:30からの塾には行けよ。
赤尾 正義》
メモの横には、キチンと重ねられた一万札が十枚置いてあった。
(…………。)
少年は、万札には目もくれずに、起き上がってケータイ画面を見る。
AM4:27
「………いくか」
少年は、黒のタンクトップにダメージ加工の半ジーパンを履くと、カバンを片手に家を飛び出した。
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