花さんはすぐ目をそらす*スターマイン番外*

1/2
前へ
/2ページ
次へ
 例えば、家で一緒に過ごしている時、彼女の頬に触れると決まって目を逸らされる。最初は少し驚いたように視線を向けてくれるものの、それは僅か一瞬だけで、気づいた時には顔を背けられてしまうのだ。  本人曰く、恥ずかしいらしい。付き合い始めの頃、外でも構わず触れていた際に言われたのだが、家にいる時でさえも恥じらう必要は無いのではないか。そう思いながらも、可愛いのでまぁ、良しとしている。  頬に触れて、流れる髪を梳き、なんだかそういう雰囲気だな、と感じた時にも花さんはすぐ下を向いてしまう。そうされるとキスが出来なくなってしまうので、大抵はそのまま押し倒す。  驚いて開いた口にキスをして、身体を撫でて、服を脱がす。俺だって余裕なんか全然無いけれど、それ以上に焦った声を上げながら顔を赤らめる姿を見ていると、堪らなく熱が込み上げてくる。  暑さに負けて自分のシャツに手をかけ、脱ぎ捨てた。足元に放ったつもりだったが、勢い任せに腕を振ったせいでどこかへ飛んでいってしまった。  ふと見下ろせば、先ほどまで閉じていた目をばっちりと開け、花さんがこちらを見ていた。視線がぶつかり、その顔が赤く染まって横を向く。露わになった首筋に噛みつきたくなる衝動が走り、同時に、いつもと変わらぬ反応に何故か少し寂しさを感じた。 「恥ずかしい?」  聞きながら、こめかみの辺りをそっと撫でた。え、と小さく、聞き返す声が届く。逸らされていた目が俺の方を向き、心が安心していく。 「恥ずかしがってるの可愛いけど、こういう時は、ちょっと寂しい」  拒絶されているわけではないと分かっていながらも、本人の口から聞きたくなってしまうのは、俺の弱さなのかもしれない。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加