第4話 毒入り林檎

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第4話 毒入り林檎

 記憶にひっかかる光景があった。  これは、別の乙女ゲームのシナリオ。その中のワンシーンだ。  確か、同じ会社が制作したゲームで、世界観を共有しているゲームがあった。  だから、別のゲームの人物が、他のゲームの登場人物に出会うのもありえなくはないのだろう。  金髪の少女(たぶん悪役令嬢だろう)は地面に這いつくばったまま、動かない。  私は面白くなってきた。  屋上に取り残されたの彼女の元へ向かい、その悪役令嬢に声をかける事にした。  耳元で、甘い果実をイメージしながらささやく。  いかにも親切そうな善人のような声で。 「貴方に手を貸してあげましょうか? ただし悪魔の手だけど」  もっとも、その果実には毒が入っているから、食べたら死ぬけれど。
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