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3 ブルーニーの習性
いく日かたつとだんだんとブルーニーのことがわかってきました。
ブルーニー全体がそうなのかこのブルーニーがそうなのかはわかりませんが、とにかく立夏と出会ったブルーニーはおおざっぱでいい加減な性格でした。
例えばブルーニーの家の手伝いの一つに薪を集めることがありましたが、今は春でストーブを使うことはありませんでしたし、またそもそもこの家に薪ストーブなんてありませんでした。それなのに、お勝手の戸口の前に山ほどの薪を集めて、お父さんとお母さんをとても驚かせました。
また脱ぎ散らかした服があると、その一部を失敬して、立夏のベットの下へ隠すことがありました。
立夏が問い詰めると、
「衣服はわしらの収集物じゃ。また昔から家人がわしらに寄こす贈り物でもある。しかしわしらはかしこまった贈り物を嫌うのじゃ。あくまでもさりげなく贈られたものしか受け取らぬ。見よ! この衣服たちのなんともさりげない置き方を! こんなに素晴らしい贈り方はめったにない!」
ご満悦の上にこの一点張りで、立夏が一生懸命、誤解だ、贈り物ではないのだ、という訴えに耳を向けようともしません。
薪にしても衣服にしても、立夏はお父さんとお母さんと妹にどう説明したらよいのか非常に悩ませました。なにせブルーニーのことは話してはならないので、説明の付けようがなかったからです。
しまいには全ては立夏のいたずらと片付けられ、立夏は理不尽なお説教を受けねばならないこともあったほどです。
こんな災難にあってしまっては、立夏はブルーニーを追い出してもおかしくないと思われましたが、そうはなりませんでした。
お説教を受けたときなど、よほどかっとなって、ときにはブルーニーを「出てゆけー!」と怒鳴りつけたいと思うこともありました。
しかし立夏がそんな気持ちでいるときには、ブルーニーはけして姿を見せませんでした。
そして怒りのおさまった夜半などにちょこりんと姿を見せ、
「おまえの父君と母君はなんともひどい怒り方をするの」
などといって、気の毒そうに立夏をなぐさめるのです。
自分が原因であることなんて、つゆとも思っていないいい草に、立夏はつい笑ってしまうのです。許してしまえたのです。
ブルーニー全体がそうなのか、このブルーニーがそうなのかわかりませんでしたが、とにかくこれらは立夏と出会ったブルーニーの習性であるのだから、仕方がないことなのだ、いつしか立夏はそう思うようになっていました。
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