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夜のアパートの一室で大学生の濱田祐里(はまだゆり)は、1人孤独感に浸っていた。彼氏もいないし、友達と言える人もいるかと問えば返答に迷う。しかし、時間だけは過ぎていく。今一緒のゼミだって集まるときは集まるものの、講義が終われば皆それぞれの友人や彼氏の元へ行ってしまうのだ。 「今日も閲覧ナシ…かぁ」 惰性でブログを初めてはみたが、ほとんど閲覧はない。自分がこっそり見ている同じゼミ生のブログは、けっこう閲覧が伸びており、コメントも多い。彼女も祐里と同じようにありきたりな毎日や、使用しているプチプラ化粧品をアップしているだけだ。それなのに何故こうも差があるのか。祐里が少し悔しさを滲ませていると、広告が突然出てきた。 「ん?お悩みサイト?」 「みんなで悩みをなくそう」と書かれたバナーを開いてみるとメルヘンな少女が森を歩いている画面が現れた。サイト名は「迷子の森」とある。よくある悩みを投稿し、閲覧した人が意見やアドバイスを述べるアレである。新着の項目には、恋愛や仕事、進路の悩みがちらほら上がっていた。祐里は思わず「悩みを相談する」を押していた。 タイトル:寂しいです はじめまして。大学3年生です。彼氏も友達もいなくて、毎日が変わり映えしません。夜になるといつも孤独感が襲ってきます。どうしたらいいでしょうか? 相談された悩みは手紙のように封書化され、メルヘンな伝書鳩が森の中へ届けにいくシステムのようだ。閲覧がつくまで待っていたかったが、次の日になれば何かしら回答がつくだろうと、祐里は楽しみに寝て待つことにした。
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