ベストアンサー

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その週末、祐里はやはり1人で買い物に出ていた。就活に使う履歴書などを買うためだ。文房具屋の紙袋を片手に店を出ると、ふと向かいの雑貨屋に沙苗の姿が見える。祐里は雑貨屋を出た沙苗に声をかけてみることにした。 「あれ?沙苗?偶然だね」 「あっ、祐里じゃん。ちょっと買い物してたの」 「へー…何買ったの?」 「ペアのワイングラス。デザインよくて安いのもあるって聞いてさ」 沙苗は祐里に買ったばかりの箱を見せた。変な偶然に首を傾げながらも、祐里はやっぱりワイングラスがベストだったのかと感心してしまった。ハンバーガーショップに1人で入り、注文を待っていると、ふと同級生のブログが気になった。 祐里の見ているブログは、同じゼミ生の平岩鈴香(ひらいわすずか)のものだった。彼女はいわばリア充と呼ばれるようなタイプである。彼女のブログは常にコメントで埋まっており、おそらく鈴香は祐里がブログを見ているとは思っていないだろう。ところが最新のブログを見ようにも鍵がかかっており、読むことができない。きっと、限られた友人にしか向けられない内容なのかもしれない。 「えー…何書いたんだろ?」 祐里は鍵を開こうと鈴香の誕生日やら、色々な数字を推測をしていたが、どうしても鍵が開かない。自棄になってランダムに数字を入力していくと、運良く鍵が開いたのだ。 「やった、ラッキー」 ブログを読み進めていると、ラグビー部のマネージャーをしている彼女は、4年生の先輩にずっと片思いをしていた。しかし、その先輩は長年付き合っている彼女がおり、卒業したら結婚したいとも言っているらしいのだ。彼女は諦めるに諦めきれず、時々こうしてブログに吐き出していたようだ。気づけば祐里は迷子の森にアクセスしていた。
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