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夜になって、クラブにつく。賑やかで、チカチカするネオンにめまいがする。まるでここはある意味での夢の国だと思う。キラキラして、輝いて。どこか現実を忘れられる、そんな夢の国だ。
「斉藤先輩、居たっ!」
「あーっ早坂ぁー……」
よってフニャリと笑う斉藤先輩は、どこかうつろな濁った目をしていた。
「大丈夫ですか、斉藤先輩。飲み過ぎですよ」
「んー、オレ、帰るわ」
「え!? 何でですか!? 漫画持ってきたんですよ、デビュー作! これ、コピー……忙しくて見れてないみたいだから! ほら、斉藤先輩!」
あたしは自分の描いた漫画を斉藤先輩に押しつけるように渡した。無表情で、まるで夢から責めた人間のような顔で、斉藤先輩はあたしの作品を受け取って。
……ビリビリに破り捨てた。そしてまた、笑ってあたしに手を振った。
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