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(やっぱり美大は大変なんだろうなぁ。作品制作とか、ね)
でも斉藤先輩ならきっと大丈夫だ。あんなにすごい人なんだから。在学中にはコンテストや公募は出してなかった物の、アレか見ても天才だった。輝いていた。学年位置、エネルギーに満ちあふれていた人間とさえ思う。
(自分の世界をもって、ダサいと笑われても絵を描き続けるそんな姿勢に惹かれたんだよね。あたしは……)
だからあたしも、頑張った。地元から投稿していた漫画雑誌に担当さんがどうにかついて、ソレを機に上京を決めた。嬉しかった。感激した。これで、やっと、斉藤先輩に顔向けできる。同じ場所に立てる。足あとを追いかけるばかりじゃいやなんだ、あたしは。
あたしは、斉藤先輩の横に立ちたい。この思いの正体はわからないままだけど、それだけを思って東京を目指した。
斉藤先輩から連絡が来たのは、数日後だった。とあるオシャレな町の、とあるカフェで会おうという約束だった。
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