夢に墜ちる。

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* 「お先に失礼しますー!」  仕事をひたすらこなして、空いた時間はすべて漫画にあてた。  あれから、斉藤先輩とは時たま合っているけれどなかなか作品を見せてくれない。ひたすらに踊って、笑って、飲んで。学校での話をたくさんしてくれるから、退屈はしないけれど……。斉藤先輩は美大でカリスマとしてあがめられてるようだった。羨ましい。 (その割には個展もしてないし、検索しても絵の一枚も出てこないけど……)  まあ、ネットでは活動しない主義なのだろう、きっと。だって、斉藤先輩はすんごいんだから。あたしの、憧れなんだから。きっと成功してないわけがないんだ。  そう思いながら、あたしはひたすら原稿をしていた。パソコンで、デジタルでやる作画はどこかツルツルとした物事のうわべをなぞる感じで現実味がないけれど、完成度が上がるのであたしは好きだった。そんなときだった。電話が鳴った。
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