序章 転生

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どうも皆さんこんにちは。 私、東雲華澄(しののめかすみ)はどうやら転生したようです… 何故そう思うのかって? それは簡単… 社畜激安アパート滋味(じみ)ジャージ女の私が、朝起きて鏡を見たらキラキラとした銀髪にエメラルドグリーンの可愛らしい瞳をした美少女に成っていたら、夢か転生かとしか思わないだろう… ……もちろん最初は夢だなって思ったよ? 最初から転生だ!って考える程、頭ん中お花畑じゃない… けどさ…頬を抓れば痛いし、ここの風景は日本と言うより中世ヨーロッパの様な感じだし、鏡に写ってた美少女の顔と名前見覚えがあったし… この少女は…恐らく私が東雲華澄だった時に読んでいた小説、【悪役令嬢には成りたくない!!】の悪役系ヒロイン…レイス・カフィア… 小説での私の立ち位置は説明すると…面倒臭いが、主人公である悪役令嬢エリアナ・クローンベルトを陥れようとして逆に返り討ちになる、聖女の力を有しただけの底辺男爵令嬢…だ。 小説のあらすじは悪役令嬢が転生者で、このままストーリーが進めば断罪からの処刑エンドを迎える事を知り、それを回避するべく画策していく中で何故か全ての攻略対象達の心を鷲掴(わしづか)みにしてしまい、小説の舞台である学園に入学する時には既に攻略対象達はヒロインには興味を示さないぐらい悪役令嬢を愛している。そしてまたヒロインも転生者で、主人公であるはずの自分に攻略対象達が見向きもしない事で、自分勝手な暴走を始める。 聖女の力を使って、そしてそんな事をしたヒロインは攻略対象と悪役令嬢によって断罪され聖女である為、処刑とまでは行かないが永久に出る事の出来ない塔高くに幽閉されてしまう… まあ…自業自得だが… とは言え、私は一生幽閉なんてごめんだ。 ならばどうしたものか… 学園に入学しない? いやそれは無理だ…レイスは聖女の力を持っているから、学園に入学せずとも数年後には転入生として学園に入れられるだろう…聖女と言う事が知れ渡った状態で… そんな事に成るくらいなら、最初から入学して聖女と言う事を隠し、かつヒロインとは思えない行動をした方が良いと思う。 ヒロイン…ヒロインか… ヒロインって言うのは、優しく可憐で皆から愛される女性だ。 ………そう…ヒロインは女性なのだ… 幸い私の名前は男女どちらにも使える… いける!勘違いを狙える! 私はそう確信すると、思い立ったらすぐ行動!と息巻いて筋トレを始めた。 立派なイケメンになる為に!
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