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陸の体は氷のように冷たく、きっと寒かったに違いないと、鈴音は、外に出てみた。
一面の銀世界だった。ふわふわの白い絨毯が、どこを見ても広がっていた。
「こんな、こんな寒い中を助けに来てくれたんだね。ありがとう。でも、無理だけはしてほしくなかった。」
鈴音は、その場に座り込んで泣き崩れた。
「ライターあるから、ろうそくに火をつけるね。」
陸が火をつけると、途端に部屋は明るくなった。土間の端から薪を持ってきて、暖炉に入れ火をつけてくれる陸。
それを見て、「タバコも吸わないくせになんで、ライターなんか」とつぶやく鈴音。
「陸はすごいね。助けに来てくれて。歩は?」
「歩はホテルで待っててもらってる。」
「もう、あいつ、役に立たない。」
香が、舌打ちをする。
「とにかく、体力を温存するために、寝よう。陸、なんで? 」鈴音は、目に涙を溜めて言う。「いえ、ごめん。ありがとうっていうべきよね。それより、無茶してごめんって謝るべきよね。今晩は、ずっといてくれるんでしょ。」
陸は、無言でうなづいた。
窓から光が差し込む。
「あー、よく寝た。あれ?鈴音、陸がいない。どこ?」
鈴音は起きてきて、暖炉の火を見る。
「やっぱり、陸は来てたのよね。」
「何言ってるの鈴音?」
鈴音の頬を涙が流れる。
「香は気づかなかったの?
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