私と彼と、みんな

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*************** ■陽介×和奏 「よーすけ」 「ん?」 「何してんの?」 「…勉強デス」 「ふふ、聞いてた通りだ」 「誰に聞いたの」 「ウチのお母さん。陽介のお母さんから聞いたって」 「隠してた訳じゃないんだけどな…」 「んーん、それはいいの。会う時間が減る、って言い出した時は何事かと思ったけど、ちゃんと説明するって言ってくれてたし」 「うん…あの時は、すぐには言えなかったんだよな…。ちょっと恥ずかしかったから」 「なんで?」 「俺、頭良くないから、さ」 「気にしなくても大丈夫な成績じゃない」 「いやいや、和奏に比べたら」 「比べなくても…」 「和奏とさ、同じ大学に行きたいんだよ、俺は」 「え!?」 「だから、必死なの」 「でも…自分の将来に関わる事だよ、私に合わせなくていいのに…」 「和奏が言ってる事は解るんだけど、やっぱり傍に居たいんだよ。どうせ就職は別になってしまうし」 「そりゃそうだけど…傍に居たいって言ってくれるのも嬉しいけど、私のせいで陽介が学びたい範囲を狭めさせたくないよ」 「俺のエゴだから」 「もう…陽介」 「重い?」 「そんな風には思わないけど…心配しちゃうよ」 「心配しなくて、いいよ。俺がしたい事。一緒に通って学んで、その中でちゃんと自分に合ったモノを探すから」 「うん……でも、無理じゃない?」 「ん?無理?それはどういう…俺の成績が無理なくらい、ランク上な大学?」 「あ、いや…そうじゃなくて」 「どういう事?」 「…陽介、あのね、私が行こうとしている大学………女子大だよ」 「え!?!?!?!?」 「やっぱり知らなかったか…」 「教えてくれなかったじゃん!」 「聞かれなかったもん」 「うっ、そ、そうだけど…!えぇー、女子大…どこの」 「隣の県にあるの」 「ほ、ほーん…」 「でも、ちょっと悩んでて」 「どうした」 「陽介がそこまで頑張ってくれてるから」 「うん」 「私も、自分がやりたい事の、もっと違う道も考えてもいいのかな、って」 「和奏…」 「陽介が頑張ってくれてるなら、私も何かしら頑張りたい。陽介に寄り添えるように」 「無理させるんじゃないか?やりたい事なんだろ」 「でも、もっと視野を広げて、陽介と一緒に居られる選択もしてみたい」 「俺が和奏の選択を狭めてるかも知れないな…」 「陽介は優しいから、私に合わせてくれようとしてる。それは凄く嬉しい」 「だけど和奏のやりたい事を狭めていい訳じゃない」 「そんなの陽介だって一緒じゃない」 「俺は結果的にこの勉強をする事で自分の成績を底上げできるし、やりたい事へ近づく事だから」 「やりたい事?」 「大学は見聞や視野を広げて、自分の可能性をもっと知る事が出来る場所だと思うよ。だけど、その先にある就職は、やっぱり少しでも有利に挑みたい」 「うん」 「だから、勉強して自分の行ける大学の幅を広げ、就職に繋げたい」 「…うん」 「将来、和奏と結婚したいから」 「陽介…」 「今の時代、俺が養ってやる、とかは古いかも知れない。だけど、俺の子供を産んで育ててくれる間は、俺がちゃんと養ってやりたい。そうなると、就職先も選べる様にしたい」 「結婚は確定なんだね」 「は!?そこ!? え、嫌なの和奏!?俺と結婚したくない!?」 「したいよ」 「はぁ~、良かった…驚かすなよ」 「そうやって先を考えて思ってくれてる陽介に感動しちゃった」 「感動してくれたなら良かった」 「やっぱり、私ももっと考えよう。陽介と同じ大学行けるように」 「……和奏、俺のワガママでごめんな」 「ううん、大丈夫。私はそんな陽介のワガママは好き」 「和奏」 「ふふ、陽介、あったかい。エアコン効きすぎて寒かった」 「ごめん。俺で身体を温めて」 「うん」  そうやって、二人で抱き合ってお互いの体温を交わす。  その温かさに、計り知れない安らぎを感じて、求め合う。  どうかこの先も、この優しい愛しい人と、たくさんの事を共有し生きて行けますように。  今この時の幸せを、この身全部で感じながら、あまりにも嬉しくて涙が出た。  それを優しい手付きで拭ってくれた陽介の指に、愛しさを込めて唇を寄せた。 ❇❇❇❇❇❇  オマケも最後までお読みくださり、ありがとうございました!  しばらくしてから、スター特典を公開したいと思いますので、また読みに来てくださると大変嬉しいです(*^^*)  ちなみに、まだ構想で書き始めてもないので本当にしばらく先になります(*>_<*)ノ
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