それぞれの世界

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KINGプロダクション2階、会議室。 我が事務所所属のアイドルグループKnight(ナイト)の宿舎卒業議論がたった今、社長、総合プロデューサー、ダンス長、彼らのマネージャーである私で執り行われている。 「メンバー達はもうセキュリティのいい住まいをみんな準備したんだろう?じゃあいいじゃないか。個人暮らしでも」 「そうですね、今年度の売上はKnightだけで一昨年と昨年の合計売上を超えていますし、流石にもうプライベートがあってもいいんじゃないでしょうか」 「そうねぇ、新たなグループを作るためにも宿舎の空きは必要ですしねぇ」 と……議論の内容はこんな感じで、宿舎卒業決定に話が傾いている訳だが…… 「僕は反対です!」 社長の前であっても、そう声を挙げたい理由がある。 「確かに普通を考えれば、Knightはもうデビュー5周年ですし、これ程の人気のあるグループが未だに宿舎生活をしているのはありえない事だと思います。 ですが、Knightのチームワークはやはり宿舎生活で培われたものであり、今後作詞作曲を本人達で行う時にも……」 「そう、それは分かっているよ大内(おおうち)くん。だからいいんじゃないかと言ってるんだ。 私も芸能事務所の社長を長年やっているが、Knightほどトラブルの少ないグループは見たことが無い。彼らのチームワークはもう固く結ばれたものなんだ。今更壊れることなんて無いだろう」 ダメか……こっち側に傾きそうにないな。 これは言わないで済むなら、言うべきではない思っていたけど……仕方ない。
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