1. プロローグ

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同族争いの一端を担っていたのは初代王ブラックの保守的な考えのせいでもあった。 元々、南部地区は犬族が治めていた。その中でもツートップであったドーベルマン種とシェパード種が折り合いをつけ、初代王にドーベルマン・ブラックを、王妃にシェパード・シルバーを就任させることで四地区の統一が実現した。 その際、猫族、魚族、鳥族には政府要人の役職と特殊待遇の職業を用意した。 共食いや種族対立による殺し合いのない世の中の実現が、獣人の総意であったのは間違いなかった。  二代目王が就任したあたりから、王族としてのドーベルマン種の地位は確立されつつあった。 ドーベルマン種はその血が濃いことで有名で、シェパードとの間に生まれた子供達はみなドーベルマン種であった。 獣人は親と必ずしも同じ個体で生まれてくるわけではない。異種同士の場合はそれが顕著で、かろうじてどちらか一方の血筋を受け継いでいるという場合もあり、個体差は大きい。   そのような中で、ドーベルマン種は親の血が片方でも必ずドーベルマン種を生み出していた。 そして皆早熟で、優秀なエリート獣人といえる。獣人は個体差で成長過程が大きく異なる。人間として、特定の動物と共に生まれ、人間年齢の二歳から十歳の間に動物と合体し獣人となる。   その後、獣人としての成人を向かえ、完成形の獣人として仕事に携わることになる。それまでは、学校において成長を促すことになっている。
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