1. プロローグ

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ドーベルマン種は、平均して二歳までに合体をし、その翌年には成人するという早熟な成長が通例であった。 さらに合体した獣人として生まれてくるAランクと言われる特別なエリート獣人も稀に存在する。 二代目王アンディが、まさにそのAランク獣人であった。 ただし、アンディはブラックとシルバーの子ではない。ブラックと愛人のドーベルマン・マロンとの間に生まれた子供であった。 ブラックの理想とする、生粋のドーベルマン種の子がAランクのエリートであることから、ブラックのドーベルマン種のみの一族の繁栄観念に拍車をかけることとなった。 しかし、世の中とは一獣人の思い通りに事は運ばない。それが初代王であってもだ。 生粋のドーベルマン種のアンディが王妃に選んだのは、九尾の狐のマリーであった。イヌ科に属するとはいえ、ドーベルマンの血とは程遠いマリーに対し当然ブラックは反対した。 ところが、幻獣系のマリーの能力は高く、ブラックをも催眠にかけ、王妃の座についた。 アンディは、幼少期から正妻シェパード・シルバーの子供たちに命を狙われることが多々あり、信じられるのは自身の能力とマリーだけであった。   アンディは一途にマリーを愛している。余計な家督争いを生み出したブラックの考えを嫌悪すらしていた。
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