Ⅲ−ⅲ.レイランドにて

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タレイアには厳しいルールがいくつか存在する。 普通の踊り子は道端で踊りながら端金を稼ぐ。 だが、タレイアは違う。 町の通りで踊ってはいけない。というのもタレイアの独特のルールだった。 それはタレイアを守るためのルールでもある。 町を転々とする彼女達が道端で踊るとそこで生活する踊り子達の生活を壊しかねない。 町の人々の反発を買えば2度と町には入れない。 また沢山の人々の目晒されると問題に巻き込まれる可能性が上がる。 それほどタレイアの踊り子達は人々を魅了する。 いくつかのルールがあるが、 このルールは、 タレイアを神秘のベールに包み込む。 すうっと広場で大きく息を吸う。 眉間に皺を寄せて、腕を組みながら私を見つめるロイに笑顔を向けた。 もう、私はタレイアではないのだから ここで踊っても問題ないだろう。 ロイを広場によんで正解だった。 お礼がしたいなんて言ったけど 本当はロイを使って人目を集めたいだけだ。 ロイの容姿は目立つから、彼が私を見ているだけで人々の視線がこちらに集まるのだ。 視線が集まれば集まるほど、稼げる。 もう一度大きく息を吸い踊り始めた。 腕を大きく開き 高く足を上げる。鳥が舞う様に高く大空に跳ね上がる。 身体を揺らすたびに装飾品が揺れる。 初めはロイに向いていた視線が私に向き始める。 曲が無くても問題ないのだ。 町行く人の、足が止まる。 人々の歓声はまた他の人々の歩みを止める。 歓声の輪が広がって行く。 手拍子が広がる。 一年半タレイアで血の滲むような 踊りの練習をしてきた。 普通一年半でここまで成長はしない。 だが、生まれてこの方ずっと王族としてダンスを習い続けてきた。 基礎は叩き込まれている。 まだまだエカチェリーナお姉様には至らないが人々の視線の集め方も分かってきたつもりだ。 手先に足先に 全身系を込めリズムに合わせて 身体をしなやかに動かす。 人々の熱気と手拍子を音楽に私は日が暮れるまで踊り続けた。
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