怒るな芸人・タレント第1章 もったいない

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「だから、どう怒らせずにするかを考えてるんだ。」 出来の良い息子だ。楽しく笑いをみているのに、仕事のことを考えている無粋な父に敢えて共感して聞き手になってくれるのだ。親ばかだが、大物だ。聞き手は忍耐力がないと出来ないと好奇は思った。 「笑わせるってこと?」 「あながち間違いじゃないな。」 「どういうこと?」 「仕掛けられたことが分かった後に笑わせることまではしなくても、せめてあきれるか、うんざりさせるかまでに留まらせれば良いと思っているんだ。」 「ぽかんとするとか、ぼんやりは?」 「おう、それも良いな。ドッキリと分かっていても予想外のものがきたら、ぽかんとなるもんだからな。」 確かにあきられるとか、うんざりよりも動物みたいに”何が起きた?”といわんばかりの顔の方が面白いかもしれないなと好奇は思った。
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