いざ書庫へ

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 そもそも今までコンスタンス自身そのようなものを目にしたこと、聞いたこともないのだが、実在しているのだろうか。 (もう少し詳しく書いているものないかしら。だいたい『王家の秘伝』『禁断の製法』『魔法使いが作った』みたいな感じでふわっと説明されているけれど、ここまで概念として共有されているなら、元ネタだってどこかにあるんじゃないかと思うのだけれど)  今まで読んだ中にはなかったように記憶しているが、まだ読むものはたくさんあるしこれから書いている作品に出会うかもれない。もしくは、もっと別の本にあたった方がいいのだろうか。医学や薬学?  隠し書庫は、想像していたよりもずっと広かった(それはそれでいかがなものか)。  隠し通路に繋がるドア以外の三方は書架。窓はない。  壁紙は百合の柄で、落ち着いた印象。家具類は、おそらく値打ものだった机が運び出されたような跡はあるが、群青のベルベットの安楽椅子に共布のオットマンや、ゆったりとした作りのソファ、瀟洒な猫足の飾り台は残っていた。  コンスタンスは灯りを置く小卓をソファに引き寄せ、ひたすら本を読み続けていたものの、読めば読むほど「あちらにはああ書いてあったけれど……」と気になって仕方なくなる。
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