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「でもね、『蕾』に関しては使い所が難しいわ。作者によって、どうも違うものを指している時があるようなの」
「……どのように」
大変重々しい口調ではあったものの、一応聞いてはいるらしい。
気を取り直して、コンスタンスはクッションを胸に抱くと、ここぞとばかりに言う。
「一つは、蜜を溢す『秘密の場所』よ。蜜よ蜜。蜜って何よ? 人体の不思議ね。ともかく、なんらかの『入り口』ね。それから、『もう一つの穴』これは『後ろの穴』と書かれているものもあるわ。『固く閉ざされた場所』で、ここを弄られたヒロインは例外なく『やっ、そんなところ、汚いっ』て言うの。これに対する返しはだいたいワンパターンで『君の体に汚い場所なんかあるはずがない』よ。ちなみに、男性が『蕾』を弄られている場合もあるから、これは男女に共通する体の器官とみて間違い無いわ。他にもね、あら、アダム?」
無表情を通り越して、ぼさっとして見えたアダム。呼び戻すようにコンスタンスは声をかけた。
「大丈夫です、聞いています。あまりの筋の良さというか、お嬢様の真面目ぶりに感服していただけです。そのご様子だと、かなり資料読みが進んでいるようで」
固い声で返事をされ、コンスタンスは頷いてみせた。
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