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「他にすることもないし、これが仕事と言われたら根も詰めるわよ。さて、続けるわよ。『蕾』の用法、もう一つは、『蜜口』のそばにあるなんらかの突起を指しているみたい。『淫核』『秘玉』『肉芽』『真珠』と書かれているものを見かけたけど、これは多分同じものを指してる。間違いないわ。アンビリーバボーね。足の間の秘密の場所に、蕾と蜜と真珠よ? 一体そこで何が起きているわけ?」
うつくしい緑の目でじいっと見てきていたアダムに、静かに尋ねられた。
「まさかお嬢様、いまの単語がご自分の肉体のどの部分を指しているかおわかりになっていないんですか」
クッションをぎゅっと強く抱きしめながら、コンスタンスは当然、という様子で大きく頷く。
「少なくとも私の体には存在していないと思うの。そんなの見たことも触ったこともないわ」
少し間があった。
「たしかに、官能小説特有の比喩表現ではありますが、対応する人体の器官は存在していますよ。もちろんお嬢様の肉体にも」
コンスタンスは目をしばたいて、聞き返した。
「ほんとに?」
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