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シチュエーションについて
(私の体のどこにもそんなもの、無いと思うのだけど)
だらだら蜜を溢す入り口や真珠なんて。
真珠よ?
首を傾げたコンスタンスを、片眼鏡の奥からアダムの真剣な瞳が見ていた。
「もしよろしければ、『どこ』か示して差し上げましょうか?」
「あなたが? 私の体で?」
聞き返すと、力強く頷かれた。
「媚薬の実物が欲しいとか、男に一服盛ってみたいとおっしゃるお嬢様ですから。官能小説で描かれる肉体の各種器官に関して。実物を見たり触ったり、『そういう状態』にしてみたいとお考えかと思いまして」
「待って。つまりそれはあなたが私の体で官能小説を再現するということよね?」
アダムは数秒黙りこんでから、口を開いた。
「再現自体はご自身でなさる方法もあるかと。つまりですね『そこ』に肉の楔を打ち込む前に、指で弄りまわす描写も多かったのでは無いかと思いますが、それはお嬢様の指でもできますから。要するに体の何処に何があるかわかれば、ご自分で触ったり弄ったり出来るでしょう?」
コンスタンスは、アダムの秀麗な美貌を見つめて考え込んだ。
それは、確かに。
結局のところ男女の交合を書くのであれば、近い経験は必要だと思っていた。
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