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テンプレについて
「まあいいわ。とりあえず、あなたがそんなに女の体に詳しいと言うのなら、是非ともご教授願いたいものね」
無意味に喧嘩腰になりながらコンスタンスが言うと、アダムは緑の瞳にキラリと鋭い光を走らせて応えた。
「若干の語弊がありますが、私はお嬢様より長生きをしていますので、知識がないわけではないです。手始めにどこからいきますか」
入り口に立ったまま。
離れた位置のソファに腰掛けたコンスタンスを見下ろして。
無言で睨み合う間、互いに身動きもしなかった。
先に折れたのはコンスタンスだった。
「そこにいてもどうしようもないでしょ。もう少し近寄って、私の隣に座りなさい」
「よろしいのですか」
「良いって言ってるじゃない」
(繰り返させないでよ)
普段、指示を聞き損じて聞き返してくることなどないくせに。
コンスタンスの見ている前で、アダムはスタスタと近づいてきた。
いつも接しているはずなのに、近づかれると背の高さに怯みそうになる。
ソファの隣に腰掛けられた瞬間、成人男性一人分の重みで座面が沈み込んだ。
ちらりと窺うと、アダムは長い足を無造作に組んで前を見つめていた。横顔にはどんな表情も浮かんでいない。
(いつもながら超然として。大理石に彫られた神話の青年神のよう)
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