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「それで、始めてよろしいんですか」
前を向いたまま、アダムが低い声で尋ねてきた。
予期していなかったタイミングに、心臓が跳ねる。
「え……えぇ、まあ、そうね。でも一応、どういうカリキュラムを想定しているのか、プランをざっと説明していただけるかしら」
焦りながら早口で言ったら、噛んだ。
何故か焦るのだ、アダムがいつもより近い、それだけで。
緊張もしている。
アダムは、すうっと視線を流しながら顔を向けてきた。
形の良い唇から、滑舌の良い、ハッキリとした声が漏れる。
「ドMのお嬢様好みに合わせるなら、ここは『自分でスカートを捲り上げ、俺の目の前でさっさと足を開け』と言う場面でしょうか」
真顔。
コンスタンスは、アダムに今以上に冷たい眼差しを向けながら、そう言われた場合を想像してみた。
(……怖ッ)
背筋に震えが走って、ついいじけながらアダムを見上げてしまう。
「アダム……。今日はいつもと違うわ。私、何か悪いことした?」
ちょっと怒ってる? とヒヤヒヤしながら確認する。
一方のアダムはといえば、一切表情を動かすことなく言い切った。
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