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「悪いこと、ですか。まさか自覚がない? 特に仕事でミスしたわけでもなくそれどころか前以上に身を粉にして働いていて、名目上は昇進ですが給料は減らされてしまった俺がお嬢様に恨みを抱いてないと思っていましたか?」
わー!
(いきなりど真ん中、痛いところ突いてきたー!)
ドS! 御主人様に対するこの手厳しさ、まさに下剋上! どんなドMな主人でもこの攻撃は確実に痛いはず。
「その件につきましては、大変申し訳なく。なんとか取り返すべく、ただいま官能小説の読み込みに鋭意取り組み中でございまして」
うなだれながら、極めて丁重に謝罪してみるも、アダムの攻勢はやまなかった。
「それで、日夜寝る間も惜しんで働いている俺を夜中に密会にうってつけの場所におびき寄せ、あろうことか官能小説の実演に付き合い、女の体について教えろとは。おかしいですね、没落してはいても、慎み深く貴族の御令嬢として育てられたはずのあなたが。まさかそんな、はしたない」
申し開きのしようもない、と萎れて耳を傾けていたコンスタンスであったが、最近馴染みの言葉が飛び出したことで、俄然息を吹き返した。
──姫君ともあろう方が、はしたない。
これは、まごうことなき官能小説の定型文!!
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