いざ書庫へ

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 さっと背を向けてドアに向かいながら、思い出したようにアダムは振り返って言った。 「ところで、隠し部屋ですが、いまのところ屋敷内では私しかその存在を知りません。かなりしっかりした作りで、扉を閉じてしまえば音も漏れにくい。密会にはうってつけの場所です。取り扱いにはご注意ください」  不思議な説明だなと思いながら、コンスタンスは従順に頷いてみせた。 「わかったわ。いまこの屋敷の人手は手薄だし、使用人同士で逢引きする場所は事欠かないとは思うけれど、中身も中身ですしあまり人に知られない方がいいわよね。私がそこにいる間は、アダム、あなたがうまく周りをごまかしておいてね」  もちろんです、と答えてからアダムは背を向けた。  * * *  ――薬がきいてきましたか?  ――く、薬ですって? な、なんだかからだが熱い……  ――我が王家に古くから伝わる「媚薬」ですよ。摂取したら最後、男を求めてよがり苦しむんです……。さあ、いつまでその強がりが持ちますかね。  ――ひ、卑怯者っ。わたくしを、こんなもので貶めようとするなんて。……あ……
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