蓮の心、ジェイ知らず

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  「いらっしゃい!」 「毎度!」 「またどうぞ!」 「どうしたんだろう?」 「変だよな」 「ジェイといい夜過ごしたのか?」 「澤田!」 「あ……悪い、今変な想像した」 「朝っぱらからやめろよ」  向かいに座っている柏木が文句を言う。けれど確かにおかしいと思う。  遅れて石尾が到着。 「いらっしゃい!」 「は、はい」  思わず最敬礼をしてしまった。そんな風にR&Dの連中は静かに食べて出て行った。 (遅いな……) 何度内線電話を見たか分からない。モーニングが終わる時間が近づいて来る。 (なにかあったんじゃ……) そうなると矢も楯も堪らない。 「眞喜ちゃん、後頼んでいいか?」 「いいわよ。ね、ジェイ、具合悪いの?」 「それも見てくる!」  あっという間に出て行った蓮を(やっぱり変!)と思いながら見送った。  上がると、やっとジェイが起きたところだった。 「ごめんなさい、無理に起こさない方がいいって聞いたから」 「それはいいんだ、具合大丈夫かな」  ぼんやりとしたまま、蓮の前を通り過ぎてトイレに行ってしまった。 「ちゃんと『おはよう』って言ってたわよ」 「ならいいけど」  ジェイはすぐに戻ってきた。 「蓮! おはよう……ごめんなさい、寝坊しちゃった」 「いいんだ、体調悪いのか?」 「ん……大丈夫だと思う」 「熱測ろう」  体温計を出してきてピッとオンにする。ジェイの腕を上げて胸元から手を入れて挟ませる。  晶子はそれを呆れて見ていた。 (そこまでやってあげてるの? そりゃ甘ったれになっても仕方ないわよ)  その後は額を触って自分の額を触っている。椅子を持ってきてジェイを座らせた。 ――ピピピっ すぐに抜いて真剣な顔をして数字を見る。 「37度1分、ちょっとあるな」 「なに言ってるの! そんなの熱の内に入らないわよ」 「こいつは繊細なんだ、油断できない」  寝室に行ったと思うと大きなカーディガンを持ってきてほわっとかけた。 「蓮、俺大丈夫だよ」 「いいから。おじや作ろうか? 昼も出なくていいぞ」 「平気だってば」  
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