のどかな一日

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のどかな一日

     日曜の朝はいつもより早く目が覚めた。ジェイは窓のそばに立って外を眺めている。蓮が起きた気配を感じて後ろを振り向いた。 「今日も雨だね」 「そうだな。すっかり雨が好きになったよ」 「これくらいの雨がいいね」  静かな降り方だ。雲もそんなに暗くはない。  蓮の隣に座って、目覚めのキスをした。 「おはよう」 「おはよう」 「蓮、この頃スケベにならないね」 「物足りないか?」 「ううん。静かにしててほしいから良かったって思う」 「しばらくはキスだけでいいんだ」  もう一度キスをする。 「どうする? 洗面所で顔洗いたい?」 「そうしたい。いいのか?」 「ついてくからね。それならいいよ」 「はいはい。じゃそうさせてくれ」  6時半になれば看護師さんが来る。それまでに支度を済ませておきたい。終わってベッドで看護師さんを待った。 「血圧132の87、熱は36.7℃。いいですね! 今日は雨で残念です。でもサンルームがあるんですよ。そこには書籍もありますし、朝食が済んで具合が良さそうだったらご案内します」  森下さんだ。やはり担当看護師さんにはホッとする。今日は朝から調子がいい。ふらついてもいない。急いで動かなれば大丈夫だ。 「ありがとう! 是非行ってみたいです」 「ただし。移動は車椅子です」  途端に顔が膨れたから森下さんは笑った。子どもに言い聞かすようにゆっくりと話す。 「ここで無理するとお部屋から出るのが遅れちゃいますよ。それはいやでしょう? 我慢しましょうね」 (蓮、子どもみたい) ジェイは密かに笑っている。普段、自分はまさしく子どもなのに、蓮がこの状態になってから(俺は大人だもんね)という意識が強まっている。 「今お食事が来ます。食べ終わって部屋から出られそうだったらナースコールで呼んでください。お迎えに来ますから」  蓮はいつもより頑張って食べた。外に出たい一心だ。この際車椅子でもいい、部屋から出たい。  それでも頑張った分、また少し気持ちが悪い。ジェイが睨むから充分に休んで、やっとナースコールを押した。  
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